古文なぞなぞの用語と解説
古文で書いたなぞなぞ・クイズ。200 語のうち 51〜100 語目です。答えを隠して、問いから答えを思い出してから読むと、覚えやすくなります。
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ウグイスうぐいす
問い梅が枝に来ゐて、「ホーホケキョ」と鳴く鳥あり。春告げ鳥とぞいひける。この鳥は何ぞ。
【現代語訳】梅の枝に来てとまり、「ホーホケキョ」と鳴く鳥がいる。春告げ鳥といった。この鳥は何か。
【ことば】梅が枝(うめがえ)=梅の枝(「が」は「の」の意味)/来ゐて(きゐて)=来てとまって/あり=いる/ぞ〜ける=係り結び(「ぞ」を受けて「けり」が連体形「ける」になる)
【ひとこと】『古今和歌集』にも、梅の花とこの鳥を詠んだ歌がたくさんあるよ。「ホーホケキョ」と鳴くのはオスなんだ。
ラクダらくだ
問い背にこぶを負ひて、水をも飲まで幾日も行く。人や荷を乗せ、遠き国の砂の原をぞ渡りける。このけだものは何ぞ。
【現代語訳】背中にこぶを背負って、水も飲まずに何日も進む。人や荷物を乗せ、遠い国の砂漠をわたっていった。この動物は何か。
【ことば】負ひて=背負って(歴史的仮名遣い)/飲まで=飲まずに(「で」は打ち消しの接続助詞)/幾日(いくか)=何日/砂の原=砂漠/ぞ〜ける=係り結び(「ぞ」を受けて「けり」が連体形「ける」になる)/けだもの=動物
【ひとこと】こぶの中身は水ではなく脂肪。栄養をたくわえておく場所なんだよ。
カエルかえる
問いをさなきほどは尾ありて水にのみ住み、長じては足生ひ出でて、くがにも上がる。夏の夜の田にこそ、かしがましく鳴け。これ何ぞ。
【現代語訳】幼いころは尾があって水の中だけにすみ、大きくなると足が生えて、陸にも上がる。夏の夜の田んぼでやかましく鳴く。これは何か。
【ことば】をさなきほど=幼いころ/のみ=〜だけ/長じては=大きくなると/生ひ出でて(おひいでて)=生えてきて/くが=陸/こそ〜鳴け=係り結び(「こそ」を受けて文末が已然形「鳴け」になる)/かしがましく=やかましく
【ひとこと】子どもはオタマジャクシ。昔は「かはづ」とも呼び、『古今和歌集』の序にも、その鳴き声が歌とならんで出てくるよ。
チョウちょう|ちょうちょ|ちょうちょう
問い青虫の蛹となりて、のちにうるはしき羽をひろげ、花より花へ舞ひありくこそをかしけれ。この虫は何ぞ。
【現代語訳】青虫がさなぎになって、そのあと美しい羽を広げ、花から花へ舞い回るのはおもしろい。この虫は何か。
【ことば】青虫の=青虫が(「の」は主語)/蛹(さなぎ)=さなぎ/うるはしき=きちんと整って美しい/より=〜から/舞ひありく=舞い回る/こそ〜をかしけれ=係り結び(「こそ」を受けて「をかし」が已然形になる)/をかし=おもしろい・趣がある
【ひとこと】平安時代の『堤中納言物語』には、毛虫をかわいがる「虫めづる姫君」が出てくるよ。この虫は昔「てふ」と書いたんだ。
タコたこ
問い八つの足を持ち、敵に追はるれば墨を吐きてぞ逃ぐる。海に住むこのものは何ぞ。
【現代語訳】八本の足を持ち、敵に追われると墨をはいて逃げる。海にすむこの生き物は何か。
【ことば】追はるれば=追われると(受け身「る」の已然形+「ば」)/吐きて=はいて/ぞ〜逃ぐる=係り結び(「ぞ」を受けて、「逃ぐ」〔逃げる・下二段〕が連体形「逃ぐる」になる)
【ひとこと】イカも墨をはくけれど、足は10本。タコの墨はさらさらで、けむりのように広がって身をかくすんだ。
コウモリこうもり
問い鳥にはあらねど夕闇の空を飛びかひ、昼はさかさまに懸かりてぞ寝ぬる。このけだものは何ぞ。
【現代語訳】鳥ではないけれど夕方の暗い空を飛び回り、昼はさかさまにぶら下がって眠る。この動物は何か。
【ことば】あらねど=ではないけれど(「ね」は打ち消し「ず」の已然形)/夕闇(ゆふやみ)=夕方の暗さ/飛びかひ=飛び回り/懸かりて=ぶら下がって/ぞ〜寝ぬる=係り結び(「寝ぬ」〔いぬ=寝る〕が連体形「寝ぬる」になる)
【ひとこと】コウモリは、羽ばたいて空を飛べるただ一つの哺乳類。多くのコウモリは超音波を出し、はね返ってくる音でまわりの様子を知るよ。
フクロウふくろう
問い夜な夜な、まろき目をみはりて獲物をうかがひ、首をくるりとめぐらす鳥あり。「ほう、ほう」と鳴く声こそ、いとあやしけれ。この鳥は何ぞ。
【現代語訳】毎晩、丸い目を大きく開いてえものをねらい、首をくるりと回す鳥がいる。「ほう、ほう」と鳴く声は、とても不思議な感じがする。この鳥は何か。
【ことば】夜な夜な=毎晩/まろき=丸い/みはりて=目を大きく開いて/うかがひ=ねらい・様子を見て/めぐらす=回す/こそ〜あやしけれ=係り結び(「こそ」を受けて「あやし」が已然形になる)/あやし=不思議だ・気味が悪い
【ひとこと】フクロウは首を左右に約270度も回せるよ。「不苦労」と書いて、縁起のよい鳥ともされるんだ。
セミせみ
問い夏の盛り、木々にとまりてかしがましう鳴き暮らす虫あり。をさなきほどは、年ごろ土の中にのみぞ住みける。この虫は何ぞ。
【現代語訳】夏のさかりに、木々にとまって一日中やかましく鳴く虫がいる。子どものころは、長い年月、土の中にだけすんでいた。この虫は何か。
【ことば】かしがましう=やかましく(「かしがましく」の音便)/鳴き暮らす=一日中鳴いて過ごす/をさなきほど=子どものころ/年ごろ=長年(今の「年ごろ」とちがう)/のみ=〜だけ/ぞ〜ける=係り結び
【ひとこと】セミの幼虫は、種類によって数年も土の中でくらすよ。成虫になってからは、長くても1か月ほどしか生きないんだ。
浦島太郎うらしまたろう
問い亀を助けしむくいに、わたつみの宮に迎へられて、乙姫にもてなされけり。ふるさとに帰りて玉手箱を開けしかば、たちまち翁とぞなりにける。この男の名は何ぞ。
【現代語訳】亀を助けたお礼に、海の宮殿にむかえられて、乙姫にもてなされた。ふるさとに帰って玉手箱を開けたところ、すぐにおじいさんになってしまった。この男の名前は何か。
【ことば】むくい=お礼・お返し/わたつみの宮=海の神の宮殿(竜宮城)/迎へられて=むかえられて/開けしかば=開けたところ(過去「き」の已然形+「ば」)/たちまち=すぐに/翁(おきな)=おじいさん/ぞ〜にける=係り結び(〜てしまった)
【ひとこと】奈良時代の『丹後国風土記』には「浦嶼子(うらしまこ)」の話があるよ。とても古くから伝わるお話なんだ。
一寸法師いっすんぼうし
問い身のたけわづかに指ばかりなれど、椀を舟に、箸を櫂にして都へ上り、宰相殿にぞ仕へける。この者は誰ぞ。
【現代語訳】背たけがほんの指くらいだけれど、おわんを舟に、箸をかいにして都へのぼり、宰相の家に仕えた。この者はだれか。
【ことば】身のたけ=背の高さ/わづかに=ほんの(歴史的仮名遣い)/ばかり=〜くらい/なれど=〜だけれど/櫂(かい)=舟をこぐ道具/上り=都へ行き/宰相殿=身分の高い貴族/ぞ〜ける=係り結び
【ひとこと】一寸は約3cm。鬼を退治し、打ち出の小づちで大きくなって、宰相の姫と結ばれたよ。
花咲かじいさんはなさかじいさん|はなさかじじい
問い「ここ掘れ」と鳴く犬を飼ひける翁、灰をまきて枯れ木をよみがへらせ、殿よりあまたの褒美を賜はりけり。昔話にて、この翁をば何とか呼ぶ。
【現代語訳】「ここを掘れ」と鳴く犬を飼っていたおじいさんが、灰をまいて枯れ木を生き返らせ、殿様からたくさんのほうびをいただいた。昔話で、このおじいさんを何と呼ぶか。
【ことば】飼ひける=飼っていた/翁(おきな)=おじいさん/よみがへらせ=生き返らせ(歴史的仮名遣い)/あまた=たくさん/賜はりけり=いただいた(「賜はる」は「もらう」の謙譲語)/をば=〜を(強め)/何とか呼ぶ=係り結び(「か」を受けて連体形で結ぶ)
【ひとこと】灰をまくと、枯れ木にいっせいに花が咲いたよ。まねをした欲ばりなおじいさんは、ひどい目にあうんだ。
鶴の恩返しつるのおんがえし|つるにょうぼう
問い助けられし鶴、をとめの姿となりて来たり、夜もすがら機を織りて受けし情けにむくいけり。「な見給ひそ」と言ひしを、のぞかれて去りにけり。この昔話は何ぞ。
【現代語訳】助けられたツルが、娘の姿になってやって来て、一晩中布を織って受けた親切にこたえた。「見ないでください」と言ったのに、のぞかれて去ってしまった。この昔話は何か。
【ことば】をとめ=若い娘/来たり=やって来て/夜もすがら=一晩中/機(はた)を織る=布を織る/むくいけり=お返しをした(「報ゆ」の連用形+「けり」)/な〜そ=〜しないでくれ(禁止)/給ひ(給ふ)=お〜になる(尊敬)
【ひとこと】「鶴女房」とも呼ばれるお話。正体を知られた娘は、空へ飛び去ってしまうよ。
さるかに合戦さるかにがっせん|さるかにかっせん
問いずるがしこき猿、青き柿を投げつけて蟹をあやめけり。その子ら、栗・蜂・臼などを語らひて、つひに仇をぞ討ちける。この昔話は何ぞ。
【現代語訳】ずるがしこいサルが、青い柿を投げつけてカニを殺した。その子どもたちは、クリ・ハチ・うすなどを仲間にさそって、とうとうかたきを討った。この昔話は何か。
【ことば】あやめけり=殺した/子ら=子どもたち/語らひて=仲間にさそって(歴史的仮名遣い)/つひに=とうとう/仇(あだ)=かたき/ぞ〜ける=係り結び(「ぞ」を受けて「けり」が連体形「ける」になる)
【ひとこと】地方によっては、牛のふんや昆布なども仲間として出てくるよ。
舌切り雀したきりすずめ
問い糊をなめしとがにて、さがなき嫗に憂き目を見せられし小鳥ありけり。欲深き嫗の選びし大きなるつづらよりは、あやしき物どもぞ出で来ける。この昔話は何ぞ。
【現代語訳】のりをなめた罪で、意地の悪いおばあさんにつらい目にあわされた小鳥がいた。欲ばりなおばあさんが選んだ大きなつづらからは、化け物たちが出てきた。この昔話は何か。
【ことば】とが=罪・あやまち/さがなき=意地が悪い(「さがなし」の連体形)/嫗(おうな)=おばあさん/憂き目=つらい目/つづら=衣服などを入れるかご/あやしき物ども=化け物たち/ぞ〜出で来ける=係り結び(出てきた)
【ひとこと】やさしいおじいさんは小さいつづらを選び、中から宝物が出てきたよ。欲ばると損をするというお話なんだ。
笠地蔵かさじぞう|かさこじぞう
問い雪いたう降れる大晦日、売れ残りしかぶり物を、道の辺に立たせ給へる石の仏たちにかづけ奉りける翁ありけり。その夜更けて、翁の家の前に宝どもぞ置かれたりける。この昔話は何ぞ。
【現代語訳】雪がひどく降っている大みそか、売れ残ったかぶり物を、道ばたにお立ちになっている石の仏さまたちにかぶせ申し上げたおじいさんがいた。その夜がふけて、おじいさんの家の前に宝物が置かれていた。この昔話は何か。
【ことば】いたう=ひどく(「いたく」の音便)/降れる=降っている(存続「り」)/大晦日(おほつごもり)=12月31日/立たせ給へる=お立ちになっている(尊敬「す」+「給ふ」)/かづけ(かづく)=かぶせる(下二段)/奉り=〜申し上げる(謙譲)/ぞ〜たりける=係り結び(置かれていた)
【ひとこと】かぶり物の数が一つ足りず、おじいさんが自分の手ぬぐいをかぶせたというお話が多いよ。
かちかち山かちかちやま
問い翁を悲しませし狸、兎にはかられて、背に負ひし薪に火をつけられ、のちには泥の舟に乗せられてぞ沈みにける。この昔話は何ぞ。
【現代語訳】おじいさんを悲しませたタヌキが、ウサギにだまされて、背負ったまきに火をつけられ、そのあと泥の舟に乗せられてしずんでしまった。この昔話は何か。
【ことば】悲しませし=悲しませた(「し」は過去)/はかられて=だまされて/負ひし=背負った/薪(たきぎ)=燃やすための木/ぞ〜にける=係り結び(「ぬ」+「けり」で、〜てしまった)
【ひとこと】タヌキをこらしめたのはウサギ。火打ち石の音が題名になっているよ。
ジャックじゃっく
問い牛と取り替へし豆を植ゑたりければ、一夜のうちに天まで伸びにけり。その蔓をよぢ登りて、大男の城にぞ至りける。この異国の童の名は何ぞ。
【現代語訳】牛と取りかえた豆を植えたところ、一晩のうちに天までのびてしまった。そのつるをよじ登って、巨人の城に着いた。この外国の少年の名前は何か。
【ことば】取り替へし=取りかえた/植ゑたりければ=植えたところ(歴史的仮名遣い)/一夜(ひとよ)=一晩/蔓(つる)=つる/よぢ登りて=よじ登って/ぞ〜ける=係り結び(「至りける」で、着いた)/童(わらは)=子ども
【ひとこと】イギリスの昔話「ジャックと豆の木」。ジャックは巨人の城から、金の卵を産むニワトリなどを持ち帰るよ。
鉄てつ|くろがね
問い心うるはしき木こり、泉に斧を取り落としければ、女神現れ給ひて、黄金と白銀の斧を見せ給ふ。木こり「わが斧にはあらず」と申しければ、みな賜はりけり。もとの斧は何にて作りしぞ。
【現代語訳】心の正しい木こりが泉に斧を落としたところ、女神がお現れになって、金と銀の斧をお見せになる。木こりが「わたしの斧ではない」と申し上げたので、全部いただいた。もとの斧は何で作ってあったか。
【ことば】うるはしき=きちんとした・正しい/取り落としければ=落としたところ/給ひ・給ふ=お〜になる(尊敬)/黄金(こがね)=金/白銀(しろがね)=銀/申し(申す)=申し上げる(謙譲)/賜はりけり=いただいた/何にて=何で
【ひとこと】イソップ物語「金の斧」。昔は金を「こがね」、銀を「しろがね」、鉄を「くろがね」と呼んだよ。
レンガれんが
問い三匹の子豚、兄らは藁と木とにて家を造りしが、狼に吹きたふされけり。末の子の家のみぞ、いかに吹けども倒れざりける。その家は何にて造られしか。
【現代語訳】三匹の子ブタのうち、兄たちはわらと木で家を造ったが、オオカミに吹きたおされた。末の子の家だけは、どんなに吹いてもたおれなかった。その家は何で造られていたか。
【ことば】兄ら=兄たち/にて=〜で/吹きたふされけり=吹きたおされた(歴史的仮名遣い)/のみ=〜だけ/いかに〜ども=どんなに〜ても/ぞ〜ざりける=係り結び(「ざり」は打ち消し「ず」、たおれなかった)/何にて造られしか=何で造られていたか
【ひとこと】イギリスの昔話。上の二匹は、オオカミに家を吹きとばされてしまったよ。
ハクチョウはくちょう
問いみにくしと笑はれし家鴨の子、まことは家鴨にあらざりけり。長じて、白くうるはしき鳥とぞなりにける。何といふ鳥ぞ。
【現代語訳】みにくいと笑われたアヒルの子は、本当はアヒルではなかった。大きくなって、白く美しい鳥になった。何という鳥か。
【ことば】みにくし=みにくい/笑はれし=笑われた/家鴨(あひる)=アヒル/まことは=本当は/あらざりけり=ではなかった/長じて=大きくなって/ぞ〜にける=係り結び(なってしまった)
【ひとこと】アンデルセンの「みにくいアヒルの子」。本当はアヒルではなく、この鳥の子だったんだ。
人魚姫にんぎょひめ
問い人の世の王子を恋ひ奉りて、声と引き換へに二つの足を得し海の娘あり。思ひかなはず、つひには泡とぞなりにける。物語の題ともなれる、この娘の名は何ぞ。
【現代語訳】人間の世界の王子に恋をして、声と引きかえに二本の足を手に入れた海の娘がいる。思いはかなわず、最後には泡になってしまった。物語の題名にもなっている、この娘の名前は何か。
【ことば】恋ひ奉りて=恋い申し上げて(「奉る」は謙譲)/引き換へ=引きかえ(歴史的仮名遣い)/得し=手に入れた/思ひかなはず=思いがかなわず/つひには=最後には/ぞ〜にける=係り結び(なってしまった)/なれる=なっている(存続「り」の連体形)
【ひとこと】アンデルセンの童話。最後は海のあわになってしまう、悲しいお話だよ。
太陽たいよう
問い北風と力くらべしけるに、北風のいかに吹けども、旅人は衣をかき合はせてぞゐたる。さて、旅人に衣を脱がせけるは何ぞ。異国の物語の題に言ふ名にて答へよ。
【現代語訳】北風と力くらべをしたが、北風がどんなに吹いても、旅人は上着をしっかり合わせていた。さて、旅人に上着を脱がせたのは何か。外国の物語の題名にある呼び名で答えよ。
【ことば】力くらべ=力の比べ合い/いかに〜ども=どんなに〜ても/衣(きぬ)=着物・上着/かき合はせて=しっかり合わせて/ぞ〜たる=係り結び(「ゐたる」で、〜ていた)/ゐ(居る)=いる(歴史的仮名遣い)/さて=ところで/答へよ=答えよ(「答ふ」の命令形)
【ひとこと】イソップ物語「北風と太陽」。むりに吹きとばすより、あたためるほうが人は動くという教えだよ。
わらしべ長者わらしべちょうじゃ
問い観音に祈りて、手にふれし一すぢの藁より始め、蜜柑・布・馬と次々に取り替へて、つひには富める人とぞなりにける。この男の話を何といふ。
【現代語訳】観音さまに祈って、手にふれた一本のわらから始めて、みかん・布・馬と次々に取りかえ、とうとうお金持ちになった。この男の話を何というか。
【ことば】観音(くわんおん)=観音さま/一すぢ(ひとすぢ)=一本/藁(わら)=稲のくき/取り替へて=取りかえて/つひに=とうとう/富める人=お金持ち(存続「り」)/ぞ〜にける=係り結び
【ひとこと】平安時代の終わりごろの『今昔物語集』や、のちの『宇治拾遺物語』にも出てくる古いお話だよ。わらにアブを結んだのが始まりなんだ。
ダチョウだちょう
問いあめのしたの鳥の中に、もつとも大きなるは何ぞ。翼はあれども空をば翔らず、くがを走ること、いとぞ疾き。
【現代語訳】世界の鳥の中で、いちばん大きいのは何か。つばさはあるけれど空は飛ばず、陸を走るのがとても速い。
【ことば】あめのした=世界/大きなる=大きい/あれども=あるけれども/をば=〜は(強め)/翔らず=飛ばない(「ず」は打ち消し)/くが=陸/いと=とても/ぞ〜疾き=係り結び(「疾し」〔速い〕が連体形「疾き」になる)
【ひとこと】ダチョウは背の高さが2mをこえ、時速60km以上で走れるよ。卵も鳥の中でいちばん大きいんだ。
ハチドリはちどり|まめはちどり
問いあめのしたの鳥の中に、もつとも小さきは何といふ鳥のたぐひぞ。花の蜜を吸ふとて、空にとどまりつつ、いと速く羽ばたくなり。
【現代語訳】世界の鳥の中で、いちばん小さいのは何という鳥の仲間か。花のみつを吸おうとして、空中に止まりながら、とても速く羽ばたくのである。
【ことば】あめのした=世界/小さき(ちひさき)=小さい/たぐひ=仲間・同類(歴史的仮名遣い)/吸ふとて=吸おうとして/とどまりつつ=止まりながら/いと=とても/なり=〜である(断定)
【ひとこと】いちばん小さいマメハチドリは体長5〜6cmほど。1秒に何十回も羽ばたいて、空中に止まれるよ。
織田信長おだのぶなが
問い天の下を治めむとしけれど、本能寺にてぞ家臣の明智光秀に攻められける。つひに炎の中に果てし、この武将は誰ぞ。
【現代語訳】天下を治めようとしたが、本能寺で家来の明智光秀に攻められた。とうとう炎の中で亡くなった、この武将はだれか。
【ことば】天の下=天下・国じゅう/治めむとしけれど=治めようとしたが(「む」は意志)/家臣=家来/ぞ〜ける=係り結び(「ぞ」を受けて「けり」が連体形になる)/果てし=亡くなった(「果つ」=死ぬ)
【ひとこと】1582年の本能寺の変。鉄砲を使った長篠の戦いや、楽市・楽座でも知られるよ。
豊臣秀吉とよとみひでよし
問いいやしき身より出でて、主君の織田殿に仕へ奉り、つひに天の下をひとつにして、大坂に城をぞ築きける。この人は誰ぞ。
【現代語訳】身分の低いところから出世して、主君の織田信長にお仕えし、とうとう天下を統一して、大坂に城を築いた。この人はだれか。
【ことば】いやしき=身分が低い/出でて(いでて)=出て/仕へ奉り=お仕えし(「奉る」は謙譲)/天の下をひとつにす=天下を統一する/ぞ〜ける=係り結び(「築きける」で、築いた)
【ひとこと】若いころは木下藤吉郎と名乗ったよ。刀狩や太閤検地を行ったんだ。
ペリーぺりー
問い黒き船どもを率ゐて浦賀の沖にぞ現れける。「国を開き給へ」と迫りし、アメリカの使ひは誰ぞ。
【現代語訳】黒い船を何そうもひきいて浦賀の沖に現れた。「国を開いてください」とせまった、アメリカの使者はだれか。
【ことば】船ども=何そうもの船(「ども」は複数)/率ゐて(ひきゐて)=ひきいて(歴史的仮名遣い)/ぞ〜ける=係り結び(現れた)/開き給へ=開いてください(尊敬「給ふ」の命令形)/使ひ=使者
【ひとこと】1853年に来航したよ。次の年に日米和親条約が結ばれ、日本は開国したんだ。
一休いっきゅう|いっきゅうさん|いっきゅうそうじゅん
問い「このはし渡るべからず」と書けるを見て、橋の真ん中をぞ渡りける。とんちにすぐれたる、この小僧は誰ぞ。
【現代語訳】「このはし渡るべからず」と書いてあるのを見て、橋の真ん中を渡った。とんちがすぐれている、この小僧はだれか。
【ことば】渡るべからず=渡ってはいけない(「べし」の打ち消し)/書ける=書いてある(存続「り」)/ぞ〜ける=係り結び(渡った)/すぐれたる=すぐれている/小僧=寺で修行する子ども
【ひとこと】「端」を通らず「真ん中」を通ったんだ。一休宗純は室町時代に実在したお坊さんだよ。
ニュートンにゅーとん
問い林檎の木より落つるを見て、ものみな互ひに引き合ふ力のあることに思ひ至りきと伝はる、異国の学者は誰ぞ。
【現代語訳】りんごが木から落ちるのを見て、物はすべておたがいに引き合う力があることに気づいたと伝わる、外国の学者はだれか。
【ことば】林檎の=りんごが(「の」は主語)/落つる=落ちる(「落つ」の連体形)/ものみな=物はすべて/互ひに=おたがいに/思ひ至りき=気づいた(「き」は過去)/伝はる=伝わる
【ひとこと】イギリスの科学者で、これを「万有引力」というよ。りんごの話は、のちに知り合いが書き残した言い伝えなんだ。
エジソンえじそん
問いいかづちの力もて夜を照らす灯を世に広め、声をとどめて再び聞かするからくりをも作りて、「発明の王」とぞ呼ばれける。この人は誰ぞ。
【現代語訳】電気の力で夜を照らす明かりを世の中に広め、声を記録してもう一度聞かせる機械も作って、「発明王」と呼ばれた。この人はだれか。
【ことば】いかづち=かみなり(ここでは電気)/もて=〜で(「もちて」のつまった形)/灯(ともしび)=明かり/とどめて=残して/聞かする=聞かせる(「聞かす」の連体形)/からくり=しかけ・機械/ぞ〜ける=係り結び
【ひとこと】アメリカの発明家。電球の光る糸(フィラメント)に、京都の竹を使ったことでも知られるよ。
源義経みなもとのよしつね
問い鞍馬の山にて育ち、をさなき名を牛若丸とぞいひける。五条の橋にて弁慶を従へ、のちに壇ノ浦にて平家を滅ぼし給ひし武将は誰ぞ。
【現代語訳】鞍馬山で育ち、子どものころの名前を牛若丸といった。五条の橋で弁慶を家来にし、のちに壇ノ浦で平家をほろぼしなさった武将はだれか。
【ことば】にて=〜で/をさなき名=子どものころの名前/ぞ〜ける=係り結び(いった)/従へ=家来にし(歴史的仮名遣い)/滅ぼし給ひし=ほろぼしなさった(尊敬「給ふ」+過去「き」)
【ひとこと】1185年、壇ノ浦の戦いで平家をほろぼしたよ。そのあと兄の頼朝と対立してしまうんだ。
源頼朝みなもとのよりとも
問い伊豆に流されてありしが、のちに兵を挙げて平家を討ち、鎌倉に幕府を開き給ひけり。義経の兄にておはしける、この人は誰ぞ。
【現代語訳】伊豆に流されていたが、のちに兵をおこして平家を討ち、鎌倉に幕府をお開きになった。義経の兄でいらっしゃった、この人はだれか。
【ことば】流されてありしが=流されていたが/兵を挙ぐ=戦いをおこす/開き給ひけり=お開きになった(尊敬「給ふ」)/にて=〜で/おはしける=いらっしゃった(「おはす」は「あり・をり」の尊敬語)
【ひとこと】1192年に征夷大将軍になったよ。今は、1185年ごろに鎌倉幕府のしくみができたとする考えが多いんだ。
聖武天皇しょうむてんのう
問い世の乱れ、疫病のはやるを憂へ給ひて、仏の御力にて国を守らむとおぼしめし、東大寺に大仏を造らせ給ひける帝は誰ぞ。(「〜天皇」の形で)
【現代語訳】世の中の乱れや、疫病がはやるのを心配なさって、仏の力で国を守ろうとお思いになり、東大寺に大仏を造らせなさった天皇はだれか。
【ことば】疫病(えきびやう)=はやり病/憂へ給ひて=心配なさって(「給ふ」は尊敬)/御力(みちから)=お力/守らむ=守ろう(「む」は意志)/おぼしめし=お思いになり(「思ふ」の尊敬語)/帝(みかど)=天皇
【ひとこと】奈良時代の天皇。全国に国分寺・国分尼寺も建てさせたよ。
足利義満あしかがよしみつ
問い京の北山に、こがねに輝く舎利殿を建てさせ給ひ、南と北に分かれし朝廷をもひとつになし給へる、室町の将軍は誰ぞ。
【現代語訳】京都の北山に、金色にかがやく舎利殿をお建てになり、南と北に分かれていた朝廷も一つにしなさった、室町幕府の将軍はだれか。
【ことば】こがね=金/舎利殿=ここでは金閣のこと/建てさせ給ひ=お建てになり(尊敬)/分かれし=分かれていた/なし給へる=しなさった(「給ふ」+存続「り」の連体形)
【ひとこと】金閣は鹿苑寺の建物で、3代将軍の別荘だったよ。1392年に南北朝を一つにまとめたんだ。
松尾芭蕉まつおばしょう
問い「古池や蛙飛びこむ水の音」と詠み、弟子の曽良を伴ひて陸奥へと旅立ちけり。その紀行こそ『おくのほそ道』なれ。この俳人は誰ぞ。
【現代語訳】「古池や蛙飛びこむ水の音」とよみ、弟子の曽良を連れて東北地方へと旅立った。その旅の記録こそ『おくのほそ道』である。この俳人はだれか。
【ことば】詠み(よみ)=(歌や句を)作り/伴ひて=連れて(歴史的仮名遣い)/陸奥(みちのく)=東北地方/紀行=旅の記録/こそ〜なれ=係り結び(「こそ」を受けて断定「なり」が已然形「なれ」になる)/俳人=俳句(俳諧)を作る人
【ひとこと】江戸時代の人。平安の歌人・西行が旅した土地をたずねることも、この旅の目的だったよ。
種子島たねがしま
問い南の海より流れ着ける唐土の船に、ポルトガルといふ南蛮の国の人乗りてありけり。その人より日の本にはじめて鉄砲の伝はりしは、いづれの島ぞ。
【現代語訳】南の海から流れ着いた中国の船に、ポルトガルという南蛮の国の人が乗っていた。その人から日本に初めて鉄砲が伝わったのは、どの島か。
【ことば】流れ着ける=流れ着いた(存続・完了「り」)/唐土(もろこし)=中国/南蛮=ここでは南から来たヨーロッパの国々/乗りてありけり=乗っていた/伝はりし=伝わった(「し」は過去)/いづれ=どの
【ひとこと】1543年、今の鹿児島県の島でのこと。鉄砲はやがて、戦のしかたを大きく変えたよ。
ザビエルざびえる|ふらんしすこざびえる
問いはるかなる西の国より海を渡りて薩摩に来たり、日の本にはじめて耶蘇の教へを説き広めける者は誰ぞ。イエズス会の宣教師なり。
【現代語訳】はるか遠い西の国から海を渡って薩摩に来て、日本に初めてキリスト教を説いて広めた者はだれか。イエズス会の宣教師である。
【ことば】はるかなる=はるか遠い/薩摩=今の鹿児島県西部/来たり=来て/耶蘇(やそ)=イエス・キリスト、キリスト教/教へ=教え(歴史的仮名遣い)/説き広めける=説いて広めた
【ひとこと】フランシスコ・ザビエルはスペイン生まれ。1549年に鹿児島に来たよ。
伊能忠敬いのうただたか
問い齢五十を過ぎてより暦の学びを始め、十年あまり国々の浦々を歩みて測りけり。その作れる日の本の地図こそ、まことにくはしけれ。この人は誰ぞ。
【現代語訳】50歳を過ぎてから暦の学問を始め、十年以上も国々の海岸を歩いて測った。その人が作った日本の地図は、本当にくわしい。この人はだれか。
【ことば】齢(よはひ)=年齢/過ぎてより=過ぎてから/暦(こよみ)=天文・暦の学問/あまり=〜以上/浦々=あちこちの海岸/作れる=作った(存続「り」)/こそ〜くはしけれ=係り結び(「くはし」〔くわしい〕が已然形になる)
【ひとこと】亡くなったあと、弟子たちが仕上げた地図は「伊能図」と呼ばれるよ。
徳川慶喜とくがわよしのぶ
問い江戸の幕府の、すゑの将軍にておはしけり。政を朝廷に返し奉りて、二百六十年あまり続きし世をぞ終へ給ひける。この人は誰ぞ。
【現代語訳】江戸幕府の最後の将軍でいらっしゃった。政治を朝廷にお返しして、二百六十年あまり続いた時代をお終わらせになった。この人はだれか。
【ことば】すゑ=最後(歴史的仮名遣い)/にて=〜で/おはしけり=いらっしゃった(尊敬)/政(まつりごと)=政治/返し奉りて=お返しして(謙譲)/ぞ〜給ひける=係り結び(尊敬「給ふ」+「けり」の連体形)
【ひとこと】1867年の大政奉還。15代将軍で、江戸幕府はここで終わったよ。
アームストロングあーむすとろんぐ|にーるあーむすとろんぐ
問いからくりの舟に乗りて、かぐや姫の帰りし月へと渡り、人の中にてはじめて月に足をぞ下ろしける。このアメリカの人は誰ぞ。
【現代語訳】機械の船に乗って、かぐや姫が帰った月へとわたり、人間の中で初めて月に足を下ろした。このアメリカの人はだれか。
【ことば】からくり=しかけ・機械/帰りし=帰った(「し」は過去)/渡り=わたって行き/人の中にて=人間の中で/ぞ〜ける=係り結び(「下ろしける」で、下ろした)
【ひとこと】1969年、アポロ11号で月に着いたよ。「一人の人間には小さな一歩だが、人類には大きな飛躍だ」という言葉が有名なんだ。
法隆寺ほうりゅうじ
問い斑鳩の地に、聖徳太子の建て給ひけるといはるる寺あり。木にて造れる堂塔の、今の世に残れる中にては、あめのしたにもつとも古きものとぞいふなる。この寺は何ぞ。
【現代語訳】斑鳩の地に、聖徳太子がお建てになったといわれる寺がある。木で造った建物で、今残っているものの中では、世界でいちばん古いものだということだ。この寺は何か。
【ことば】斑鳩(いかるが)=今の奈良県の地名/建て給ひける=お建てになった(尊敬)/いはるる=いわれる(受け身「る」の連体形)/堂塔=お堂や塔/残れる=残っている(存続「り」)/あめのした=世界/ぞ〜なる=係り結び(伝聞「なり」の連体形で、〜ということだ)
【ひとこと】1993年、日本で最初の世界文化遺産の一つになったよ。
古事記こじき
問い稗田阿礼の誦みならひし古き言どもを、太安万侶の書き記して、帝に奉りける書あり。日の本に伝はれる歴史の書の中にては、もつとも古しとぞいはるる。この書は何ぞ。
【現代語訳】稗田阿礼が暗記していた古い言い伝えを、太安万侶が書き記して、天皇にさしあげた書物がある。日本に伝わっている歴史の書物の中では、いちばん古いといわれている。この書物は何か。
【ことば】誦みならひし(よみならひし)=声に出して覚えた/言ども=言葉・話の数々/安万侶の=安万侶が(「の」は主語)/奉りける=さしあげた(「奉る」は謙譲)/伝はれる=伝わっている/ぞ〜いはるる=係り結び(受け身「る」の連体形)
【ひとこと】712年にできたよ。8年後には『日本書紀』ができたんだ。
そろばん
問い木の枠に珠をつらねたるものなり。指にて珠をはじきつつ、数を数へ、足し引きをぞなしける。あきびとの手ばなさぬ、この道具は何ぞ。
【現代語訳】木のわくに玉を並べてつないだものだ。指で玉をはじきながら、数を数え、足し算や引き算をした。商人が手ばなさない、この道具は何か。
【ことば】珠(たま)=玉/つらねたる=並べてつないだ/つつ=〜ながら/数へ=数え(歴史的仮名遣い)/ぞ〜ける=係り結び(「なしける」で、した)/あきびと(商人)=商人
【ひとこと】室町時代ごろに中国から伝わったといわれるよ。漢字では「算盤」と書くんだ。
下駄げた
問い木にて作り、底に二つの歯のつきたる履物なり。歩めば、からころとぞ鳴る。これ何ぞ。
【現代語訳】木で作り、底に二枚の歯がついているはきものだ。歩くと、からころと鳴る。これは何か。
【ことば】にて=〜で/つきたる=ついている(存続「たり」の連体形)/履物(はきもの)=足にはくもの/歩めば=歩くと(已然形+「ば」)/ぞ〜鳴る=係り結び(「鳴る」は連体形)
【ひとこと】鼻緒(はなお)に指をかけてはくよ。雨の日用の、歯の高いものもあるんだ。
ひな祭りひなまつり|もものせっく
問い弥生の三日、女の子のすこやかに生ひ立たむことを祈りて、うるはしき人形どもを段に飾り、白酒・菱餅をも供ふる祭りは何ぞ。
【現代語訳】三月三日に、女の子が元気に育つことを祈って、美しい人形たちを段に飾り、白酒やひし餅もそなえる祭りは何か。
【ことば】弥生(やよひ)=三月/すこやかに=元気に/生ひ立たむこと=育っていくようなこと(「む」は婉曲)/うるはしき=美しい/ども=〜たち(複数)/供ふる=そなえる(「供ふ」の連体形)
【ひとこと】「桃の節句」とも呼ぶよ。『源氏物語』には、人形で遊ぶ「ひひな遊び」が出てくるんだ。
灯台とうだい
問い夜の海に光を放ちて、舟人に岬のありかをぞ知らする。この高き塔は何ぞ。
【現代語訳】夜の海に光を放って、船乗りに岬のある場所を知らせる。この高い塔は何か。
【ことば】放ちて=放って/舟人(ふなびと)=船乗り/ありか=ある場所/ぞ〜知らする=係り結び(「知らす」が連体形「知らする」になる)/高き=高い
【ひとこと】日本で最初の洋式灯台は、神奈川県の観音埼灯台。1869年に光をともしたよ。
風鈴ふうりん
問い夏のころ軒につるしおけば、風の吹くたびに、ちりんと涼しき音こそ聞こゆれ。これ何ぞ。
【現代語訳】夏のころ軒下につるしておくと、風が吹くたびに、ちりんとすずしい音が聞こえる。これは何か。
【ことば】軒(のき)=屋根のはし/つるしおけば=つるしておくと(已然形+「ば」)/涼しき=すずしい/こそ〜聞こゆれ=係り結び(「聞こゆ」〔聞こえる〕が已然形になる)
【ひとこと】江戸風鈴はガラス、南部風鈴は鉄でできているよ。音でもすずしさを感じる、日本の夏の道具なんだ。
扇子せんす|おうぎ
問いたためば懐にをさまり、ひろぐれば絵も見ゆ。あふげば涼しき風ぞ起こる。歌を書きつけて人に贈ることもありけり。これ何ぞ。
【現代語訳】たたむとふところに入り、広げると絵も見える。あおぐとすずしい風が起こる。和歌を書いて人に贈ることもあった。これは何か。
【ことば】懐(ふところ)=着物のむねのあたり/をさまり=入り(歴史的仮名遣い)/ひろぐれば=広げると(「ひろぐ」の已然形+「ば」)/見ゆ=見える/あふげば=あおぐと/ぞ〜起こる=係り結び(連体形で結ぶ)
【ひとこと】扇は日本で生まれたといわれるよ。平安の貴族は、扇に歌を書いて思いを伝えたんだ。
凧たこ|いかのぼり
問い睦月のころ、糸をつけて風に乗せ、空高くこそ揚ぐれ。童の好みて遊ぶ、これは何ぞ。
【現代語訳】一月のころ、糸をつけて風に乗せ、空高く上げる。子どもが好んで遊ぶ、これは何か。
【ことば】睦月(むつき)=一月/こそ〜揚ぐれ=係り結び(「揚ぐ」〔上げる〕が已然形になる)/童(わらは)=子ども/好みて=好んで
【ひとこと】凧あげは江戸時代にとても流行したよ。関西などでは「いか」とも呼ばれたんだ。